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2012.01.18 (Wed)

DTMerのためのフーリエ変換: 1章 フーリエ変換とは何か

音楽と数学の切っても切れない関係
「全ての自然現象は適切な数学によって説明され得る」というのは、やや自然科学に傾倒した言明ではあるが、21世紀初頭の今この言明を覆すような証拠は存在しない。音の発生も歴史の長いよく知られた自然現象であり、これを説明する数学も多岐に渡る。 歴史は紀元前まで遡り、ピタゴラス学派(ピタゴラス自身かどうかは定かではない)がピタゴラス音階を発明したときが史実に残る音楽と数学の最初の接点であると思われている。(wikipedia ピタゴラス音律) 当時は数学もまだ未熟であり、以降様々な音階が開発され、楽典が確立し、音楽に対する数学的なアプローチが成熟するまでは長い時間がかかる。フーリエ変換の礎となるフーリエ級数展開が確立されるのは19世紀の話で、長い歴史と比較するとごく最近の話である。
音波とは、狭義には空気を媒介として伝わる振動の事で、観測点を一点に固定すれば時間を変数とする一次元の関数として特徴づけられる。一次元の関数に対する解析は数学的にも簡便でフーリエ変換以外にも多くの解析方法を利用できる。音の3つの要素は「大きさ」、「高さ」、「音色」と言われているが、これらをきちんと理解し定義するためにも数学は必要になってくる。

フーリエ変換は信号を波の成分に分解する演算
フーリエ変換はいったい何をするのか。これにはいくつもの表現が考えられるいくつか思い付いたものを列挙してみる。
• 関数を波の成分に分解する
• 任意の関数を三角関数の和として書く
• 時間の関数を周波数の関数に変える
とまあ、思い付くだけでも複数の表現が存在し、どれもフーリエ変換の側面をとらえている。どの表現が最も適しているかは適用する対象に依存する。楽音を出す楽器の音(定常波)に適用する場合は、「倍音の強度を見る」という直感的な表現も適切であろう。
いくつか簡単な例を見てみよう。ここで登場した例は後ほど詳細に解析をする。形がよく見えるようにするため波は二周期分取り出した。
例1) 矩形波(1000Hz)
square.png squaref.png

例2) 三角波(1000Hz)
tri.png trif.png

例3) ノコギリ波(1000Hz)
saw.png sawf.png

例4) サイン波(正弦波) (1000Hz)
sin.png sinf.png

それぞれ1000Hzの波なので、最も高いピークはきちんと1000Hzに現れている。サイン波以外の例では、高い周波数の成分も含まれているのがわかる。波形によってピークの間隔が異なる(ノコギリ波のピーク間隔が短い)のも特記すべき点である。上の4例は、フーリエ級数展開によって厳密に解くことができる(4章)。これらの事柄の持つ意味がいったい何であるかは、6章で議論する。

実は耳というのはフーリエ変換器
Figure 1 (Wikipedia より転載) は人間の耳の内部構造である。音は鼓膜を伝わって中耳、内耳へと伝わり、蝸牛という螺旋状の構造に到達する。この螺旋は先端に向かってだんだん細くなっている。この形状のおかげで、周波数の異なる波は物理的に異なる場所まで到達して最終的に減衰して消えてしまう。低い音は蝸牛の深いところで、高い音は浅いところで減衰し、そこにあるリンパ液を振動させる。このリンパ液の振動を有毛細胞という特殊な細胞がキャッチして脳に信号を送る。この蝸牛の役割こそがまさに「波を周波数ごとに分解する」という働きで、音の信号は脳に送られる前にフーリエ変換にかけられたようになっていると言うことができる。


Anatomy_of_the_Human_Ear_ja.png

Figure 1 人の耳の構造。Wikipediaより。(Anatomy_of_the_Human_Ear.svg: Chittka L, Brockmann; derivative work: Nesnad (Licenced with CC BY-SA 3.0))
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次の講座も楽しみにしてます!!
象なで |  2012.01.18(水) 20:17 |  URL |  [コメント:編集]

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